トップページ > 日本人クラブの料金形態事情
 バンコクの男性の夜と言ったら、やはりタニヤやスクンビットの日本人クラブ。その料金形態は各店舗まちまちですが、一体どのような料金形態となっているのでしょう?
 2000年頃、タニヤのファミリーマート付近の集客が少ない店舗から「1時間600バーツのセット料金」が生まれました。どのような根拠で600バーツと言う料金を出したのか全く不思議ではありますが、この600バーツシステムは伝染病のようにタニヤのオフ可能店に広がり、現在はスクンビット店にも感染拡大しています。一方、ノーオフ店はこのシステムを採用せず、現在でも通常料金で動いています。
 この時間600バーツシステムは、日本人クラブの料金形態を崩し、ホステスの質を低下させ、さらに客の質も低下させた、最悪の店舗共倒れ価格競争システムなのです。
クラブの規定料金内訳
料金項目 内容 一般的価格
@テーブルチャージ料金 1名に付きの料金 200
意味 : いわば「座っただけ」で発生する料金
解説 : 全額店舗の利益
Aおつまみセット料金 1テーブルに付きの料金 150
意味 : 一般的には乾き物のおつまみ
解説 : 全額店舗の利益 / 原価は20バーツ程度
Bフルーツセット料金 1テーブルに付きの料金 150
意味 : 一般的にはスイカ・パイナップル等の季節の果物 / おつまみセットと合算になっている場合もある
解説 : 全額店舗の利益 / 原価は40バーツ程度
Cホステス接客料金 最初の1時間は3コーラ、続いて1時間毎に2コーラが課金 180
意味 : ホステス1名に付きの料金で俗に「コーラ」と呼ぶ / 時間で課金されていくシステムで、もともとはホステス用に時間毎にお替りのコーラを出す事から来ている
解説 : 店舗とホステスの折半が多い / 集客人数よりも集客時間に比例
Dチーママやサービス
スタッフ用奉仕料金
1テーブルに付きの料金 180
意味 : これもホステスのコーラシステムと同様 / 一般的には時間に関わらず1コーラ / お客様と同席しないスタッフに対しての料金で、いわばレストランやホテルの「サービスチャージ」に匹敵 / ※設定していない店舗もある
解説 : ボーイやバーテンダーへのサービス料ですから致し方ないが、チーママに対して支払う歩合としては間違っている
Eママ用サービス料金 1テーブルに付きの料金 180
意味 : これもホステスのコーラシステムと同様 / 一般的には時間に関わらず1コーラ / ※設定していない店舗もある
解説 : チーママコーラの意図が間違っているが、ママに対してのコーラが発生するような店舗は悪質な店舗と言える
Fお酒等飲み物料金 お茶からキープボトルまでさまざま -
意味 : 料金も店舗によってかなりの差がある / 一般的にオフ店は安く、ノーオフ店は高め
解説 : キープボトルで一般的なのはシーバス、一般的には1,700バーツだが安い店は1,000バーツそこそこ、高い店(特にノーオフの店)は2,200バーツが一般的
G消費税 総額の7% -
意味 : 消費税を内税にしている店舗が多い
解説 : 本来は外税にて徴収するべき / 税務上も「伝票に消費税を記載しなければならない」事になっているので、内税でも記載が必要。まして売上伝票(請求伝票)に消費税が記載されていないのは違法 / 個人事業主店舗の場合は消費税の徴収が困難なため、消費税を徴収していながら納税をしていない店舗オーナーも多く存在する
Hサービス料 総額の5%〜10%が一般的 -
意味 : サービス料を徴収しない店舗や、消費税と合算している店舗もある
解説 : サービス料を徴収するならば、精算後のチップ(一般通例)は全く不要、1バーツの単位まで持ち帰るべき
Iクレジットカード手数料 総額の3%〜5%が一般的 -
意味 : サービス料を徴収している店舗は無料としている店舗もあります。
解説 : 日本ではクレジットカード会社手数料は店舗が負担する事が一般的だが、タイの商取引では顧客が負担する事が通例 / 手数料は銀行やクレジットカードによって変化するが、通常は2.5%〜5% / アメリカン・エクスプレスの手数料が一番高く、店舗としては取り扱いをしない所が多い / この手数料負担は、店舗が銀行に行かねばならない手間や、現金になるまでの時間を考慮すると致し方ない料金と言える
タニヤの一般的な店(料金形態として良心的な店)の場合の試算をしてみましょう。
■人数で試算 ■時間で試算
1時間 1人 2名 3名 4名
@テーブルチャージ料金 200 400 600 800
Aおつまみセット料金 150 150 150 150
Bフルーツセット料金 - - - -
Cホステス接客料金 540 1,080 1,620 2,160
Dチーママやサービススタッフ用奉仕料金 180 180 180 180
Eママ用サービス料金 - - - -
Fお酒等飲み物料金(ビール1名1杯) 150 300 450 600
G消費税 - - - -
Hサービス料 - - - -
Iクレジットカード手数料 - - - -
合計 1,220 2,110 3,000 3,890
1名平均 1,220 1,055 1,000 972
1名 1時間 2時間 3時間 4時間
@テーブルチャージ料金 200 200 200 200
Aおつまみセット料金 150 150 150 150
Bフルーツセット料金 - - - -
Cホステス接客料金 540 900 1,260 1,620
Dチーママやサービススタッフ用奉仕料金 180 180 180 180
Eママ用サービス料金 - - - -
Fお酒等飲み物料金(ビール1時間1杯) 150 300 450 600
G消費税 - - - -
Hサービス料 - - - -
Iクレジットカード手数料 - - - -
合計 1,220 1,730 2,240 2,750
1時間平均 1,220 865 746 687
●解説 ●解説
人数に関わらず発生する固定料金(おつまみセット料金・スタッフ料金)があるため、人数が多くなると1人当りは安くなってきます。1人で行くより、複数人数の方が1名当りは安くなります。 時間に関わらず発生する固定料金(テーブルチャージ料金・おつまみセット料金・おスタッフ料金)があるため、時間が長くなると1時間は安くなってきます。1時間を2回行く(総2時間)料金と、1回で4時間居る時間とはほぼ同額となります。1時間を何度も繰り返すより、1回で長時間居る方が安いと言えます。
ホステスにとって貴殿は良いお客さんでしょうか?の計算
ホステスは前著しましたように、ホステス接客料(コーラ)が歩合として収入となります。ホステスの収入は「固定給」とこの「歩合給」であるコーラの2本となります。1コーラが180バーツの場合の店舗とホステスの受け取り比率はまちまちですが、多くは店舗とホステスが折半します。
■1回の時間数で試算 ■1回1時間で回数で試算
ホステス1名あたり 1時間 2時間 3時間 4時間 5時間
接客料 コーラ数 3 5 7 9 11
ホステス受け取り
1コーラ=90バーツ
270 450 630 810 990
ホステス1名あたり 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目
接客料 コーラ数 3 6 9 12 15
ホステス受け取り
1コーラ=90バーツ
270 540 810 1,080 1,350
●解説 同じ時間接客するならば、複数回に別けてくれた方がホステスとしては収入が多くなります。何故この現象が起こるかと言うと、最初の1時間が3コーラで、引き続き1時間毎と2コーラと言うおかしなシステムが影響しています。最初の1時間は20分で90バーツ、引き続く場合は30分で90バーツ。これはおかしなシステムです。
ホステスコーラシステムの不思議
●「最初の1時間の接客」と「2時間後の接客」は、内容が異なるのだろうか?
●ホステスの接客内容が変わってしまうのだろうか?
この変なシステムを利用して、もっとホステスにとって幸運なのは?の計算
 ■ホステス1名あたり、1日勤務時間内で試算
※勤務時間は午後7時30分〜午前1時30分
顧客数 20:00 - 21:00 21:00 - 22:00 22:00 - 23:00 23:00 - 24:00 24:00 - 25:00 合計コーラ数 合計歩合給
1 3 2 2 2 2 11 990
2 3 2 2 3 2 12 1,080
3 3 2 3 3 2 13 1,170
4 3 3 3 3 2 14 1,260
5 3 3 3 3 3 15 1,350
●解説 1日の勤務時間でフルに接客した場合でも、上記のように接客人数によってホステスの歩合給は異なります。5時間フルに接客した場合、1名の顧客と5名の顧客では、なんと360バーツも変わってきます。
1時間飲み放題セット600バーツなんて馬鹿なシステム?
こんなシステムをどの店が最初に始めたのだろうか?今では記憶がはっきりしていませんが、確かタニヤのファミリーマート近くの店から発生した覚えがあります。集客を増すために店舗オーナーが色々アイデアをだすのは良い事でしょうが、価格を抑えるだけでは価格競争となります。顧客にとっては価格が下がる事は大歓迎であっても、実際は接客内容の下落が悪症状として残りました。 現在の日本人クラブホステスの接客レベルは地に落ちており、このシステムが日本人クラブを破滅に追いやっています。その危険、自分の首を自分で締めるシステムを採用している店舗オーナーは無知としか言えません。
1時間600バーツシステムは、ホステス接客料(コーラ)は1時間あたり1コーラ
1時間接客してたった90バーツにしかなりません。初回来店の顧客へ「お試し」接客としては良いでしょう。しかし何時間もセット料金を使われては、ホステスが悲鳴をあげてしまいます。
通常料金 (1時間) 店舗利益 ホステス
利益
@テーブルチャージ料金 200 -
Aおつまみセット料金 150 -
Bフルーツセット料金 - -
Cホステス接客料金 270 270
Dチーママやサービススタッフ用奉仕料金 90 -
Eママ用サービス料金 - -
Fお酒等飲み物料金(ビール1名1杯) 100 -
G消費税 - -
Hサービス料 - -
Iクレジットカード手数料 - -
合計 810 270
セット料金 (1時間) 店舗利益 ホステス
利益
@テーブルチャージ料金 200 -
Aおつまみセット料金 130 -
Bフルーツセット料金 - -
Cホステス接客料金 90 90
Dチーママやサービススタッフ用奉仕料金 90 -
Eママ用サービス料金 - -
Fお酒等飲み物料金(ビール1名1杯) - -
G消費税 - -
Hサービス料 - -
Iクレジットカード手数料 - -
合計 510 90
この「1時間飲み放題セット600バーツ」システムの多くは、俗に「オフ店」と呼ばれる店舗です。「オフ店」は、接客料金での利益よりも仕入の無い「オフ料金」の収入を期待しています。これはホステスに同様な事が言えます。 従って、必然的に店舗側もホステス側も接客に対してのサービス度は最低状態となります。これが日本人クラブを衰退させている最大の原因です。
1時間飲み放題セット600バーツなんて馬鹿なシステムを採用して、店舗の経営は成り立つのだろうか?
支出の部
月間運営試算 (130u中型店舗) 単価 小計
家賃 55,000 55,000
ホステス給料(20名)減額後 5,000 100,000
ホステス・チーママ歩合給(月800コーラ) 90 72,000
サービス員給料(5名) 5,000 25,000
チーママ給料(2名) 15,000 30,000
仕入(酒・氷・水・スナック等) 70,000 70,000
納税等 10,000 10,000
電気・水道 15,000 15,000
修繕費 5,000 5,000
事務用品費 2,000 2,000
雑費 10,000 10,000
合計  394,000
収入の部
月間運営試算 (130u中型店舗) 単価 小計
時間セット料金(日平均10名) 600 180,000
通常料金(日平均1名) 1,500 45,000
ホステスオフ代(日平均5名) 600 90,000
ホステス欠勤料(日平均1名) 1,000 30,000
ボトル販売(月平均10本) 1,600 16,000
合計  361,000


この試算では
毎月33,000バーツの赤字となります。
この試算でも、月間330名の集客をしなければなりません。
この集客人数は中型店にとっては大変な数字です。
結局、営業収支は赤字。泣くのは店舗オーナーです。

飲み放題セット600バーツシステムを採用すると、確実に赤字となります。
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