経済概要
1986年2月、ラオス人民革命党第4回党大会は「チンタナカーン・マイ(新思考)政策」に基づく一連の経済改革を採択しました。基本的には中央計画経済から市場原理経済への移行を目指すもので、「新経済メカニズム(NEM)の導入」と称され、国公営企業の民営化・価格統制の廃止・貿易の自由化・税制改革・金融改革等が重点目標として掲げられました。それ以後、経済改革と経済開発を推進するため、国の基幹産業である農業や水力発電はもとより、道路・通信・教育・公衆衛生の向上に向けた総合的インフラの整備、社会・経済分野における法制面の整備、人材の開発育成、国家機構改革に取り組んでいます。
1997年における国内総生産額は2兆1,726億キープ(Kip)で、一人当たりのGDPは357米ドルとなりました。1990年価格によるGDP成長率は6.5%、物価上昇率は19.3%となっています。 |
産業
就業人口の8割を農業従事者が占める農業国ラオスのGDPに占める産業別構成比(1997年)は、農業51.5%、工業21.2%、サービス業25.5%、輸入税1.9%となっています。主な農業生産物は、米、とうもろこし、いも、野菜、豆類、コーヒー、さとうきび、たばこ、綿花、水牛、養豚、牛、家禽類です。また工業生産物は、食品加工、鉱物加工、化学製品、石材加工、木材加工、電力、水資源などです。
ラオス経済はその国土の構造上、年間を通じた降雨量の変化に影響を受けやすいのがネックとなっています。国の基幹産業である農業は、潅概設備の整備が未だ不十分であるため天水依存型となっており、またタイヘの売電として国の重要な外貨収入源となっている水力発電も降雨量に影響されやすい状態です。 |
貿易
ラオスの貿易は大幅な輸入超過が特徴となっており、1996年においても、総輸出額2億4千万米ドルに対する総輸入額は5億7千万ドル、輸出額のほぼ2倍を占めています。ラオス政府はこうした状況を改善するため、輸入に依存している日用雑貨や食品、燃料、軽機械類の国内生産の促進や、近隣国への輸出産業の振興に取り組んでいます。ここ数年の主な輸入品目は、自動車・自動二輪車・自転車・ミシン等の軽機械類、燃料・繊維類・薬品・食品類で、その相手国は、タイ・中国・日本・フランス・米国となっています。一方主な輸出品目は、電力・木材製品・コーヒー・石膏・すず等で、その相手国は、タイ・日本・フランス・ドイツ・オランダとなっています。 |
外国からの投資
市場経済制度の導入を進めているラオスは、国内の資本不足・技術不足・人材不足を、誘致した外国企業や外国からの援助によって補っています。
1988年に初めて「外国からの投資に関する法律(以下「外国投資法」という)」が制定されて以来、道路・通信・電力・教育・公衆衛生等のインフラ整備と併せて、政治的・経済的安定や法制面の整備等、外国企業が進出しやすい環境を整備していくことが国家の優先課題となりました。
1994年5月には、1988年外国投資法を廃止し、代わって新たな「外資管理・促進法」が制定されました。1997年8月現在における外国直接投資許可件数は702件、登録資本額は68億348万3千米ドルでした。そのうち外資占有率は81.9%、内資占有率は18.1%であり、外資の主な国別内訳はタイが総額の46.98%、米国が26.61%、韓国が5.62%、オーストラリアが5.09%と続き、かつての宗主国フランスは第6位で4.84%、日本は第15位の0.22%となっています。投資分野別にみると、電力開発が総額の66.15%と圧倒的で、次に観光産業が8.90%、通信・運輸業が8.25%、工業・手工業が7.01%、製材業が2.43%と続いています。 |