政府
 憲法第6章及び「ラオス人民民主共和国政府に関する法律(1995年8月3日)」は、政府は国家行政の最高機関であり、国民議会及び大統領に対し、政治・経済・文化・社会・外交・国防治安の分野における国家業務の統一的管理に責任を負うものと定めています。またその責務の実施は、憲法と法律の定めるところにより中央集権民主制の原理原則に沿うものでなければなりません。また指導部中枢としてのラオス人民革命党及びその下位機関である大衆組織との協力体制のもと、行われなければならないとされています。

 政府は、首相・副首相(複数)・省の大臣・省と同格の組織の長といった政府閣僚に代表されており、その下に16の省及び省と同格の組織が設置されています。省及び省と同格の組織の内部組織は、首相令で定めることとされています。また、それぞれに州や郡レベルの地方事業所を有しており、それらの業務の指導監督にあたっています。
首相
副首相
首相府
外務省 外務・領事・国際法規・国際条約・
大蔵省 国家予算・国有財務・国庫金管理・外貨管理・関税管理・税管理・固定資産管理
教育省 初等中等教育・生涯学習・教員育成・体育教育・職業技術高等教育
情報文化省 マスメディア・美術・出版図書・博物館・古代美術・文学
労働社会福祉省 労働・社会福祉・年金・退役軍人・社会保障基金
商業観光省 国内商業・貿易・輸出振興・企業登録
工業手工業省 工業・手工業・鉱業・電力
通信運輸郵政建設省 運輸・郵政・電気通信・コミュニケーション・住宅都市計画
保健省 衛生予防・治療・健康管理・食品・薬品・医療・医療技術・科学審議
法務省 法規・法規普及・法規出版・司法制度管理
農林省 農業振興・畜産・農業用水路・気象・林政
国家計画委員会 国家計画・公共投資事業指導・国家統計
ラオス中央銀行 経済研究・国際財務・融資・貨幣・
国防省 首相府行政局管轄外
内務省 首相府行政局管轄外
政府の任務と権限
 憲法第6章には、政府は以下の任務及び権限を有すると規定されており、首相以下各省及び省と同格の組織が業務を行うものとされています。
憲法、法律、国民議会の決議事項及び大統領の発布する大統領令や大統領布告の実施
国民議会への法律案の提出
大統領への大統領令案及び大統領布告案の提出
国家社会経済開発計画や国家年次予算の作成及びその国民議会への提出
社会経済、科学技術、国防治安、外交等の分野における政令や政府規則の発布
省地方出先事務所や地方政治事務所の活動の組織化及び業務の指導監督
国防治安活動の組織化及び指導監督
外国との条約、協定の締結及びその実施に係る指導
省以下各公的機関が行った指導や決定が法律に反する場合はその執行の停止又は取消し
政府閣僚
 現在の閣僚は第4期第1回国民議会(1998年2月24日から26日)の承認を受け選出されています。
首相
 首相は政府の長であり、その任命・解任は国民議会の承認を受けて大統領により行われます。任期は国民議会議員や大統領と同様5年。首相は政府の代表として省や省と同格の組織と政府付属機関の業務の監督にあたるほか、各地方レベルの長の業務の監督も行います。

 首相は以下の権限と任務を有するとされています。現在の首相は、シーサワート・ケーオブンパンで、第4期第1回国民議会の承認を受け就任しています。
閣僚会議の召集及びその議長への就任
閣僚会議決議事項の実施に係る指導監督
政府のあらゆる業務に係る調整並びに省や省と同格の組織、州、特別市、特別区及び首相直轄下の組織の指導監督
副首相、省の大臣、省と同格の組織の長、在外公館の全権委任大使、知事、市長の任命・解任・異動、及び国防治安軍将官の昇降格に係る大統領への提案
省の副大臣、省と同格の組織の副長、部の長及び副長、局の長、副知事、副市長、特別区の長、郡の長の任命・解任・異動
国防軍大佐の昇降格
首相令の発布及び政策、法律、規則、政府計画の実施に関する訓令の発布
政府の業務実施に関する国民議会及び大統領への年次報告の提出
首相の不在若しくはその他の事由により首相がその責務を履行できない場合の首相の権限及び任務の副首相への委任
健康上又はその他の事由により首相の責務を履行できないと判断した場合の辞任
法律の定めるところによるその他の権限及び任務の実施
副首相
 副首相は、首相の提案により国民議会の承認を受けて大統領より任命されます。任期は首相同様に5年。首相の補佐として複数名が置かれていますが、首相の不在若しくはその他の事由で首相がその責務を履行できない時に、首相によりその権限及び任務の委任を受けた副首相に限って首相代理として業務を行うこととされています。首相代理の任命は、その責務の範囲及び代理期間を明記した書面によりなされなければなりません。また副首相も首相同様に、自らの健康上若しくはその他の事由によりその責務を履行できないと判断されるときは、辞任しなければならないとされています。
その他の政府閣僚
 副首相以下政府閣僚の人事は首相の提案により国民議会で審議され、その承認をもって大統領より任命されます。その任期は首相、副首相同様に5年です。しかし国民議会常務委員会や国民議会議員の4分の1の申し立てにより、国民議会は政府若しくは政府閣僚に対し、過半数票により不信任決議を行うことができます。この場合、大統領は国民議会に対し不信任決議の再審議を請求する権限を有しています。
閣僚会議
 首相は閣僚会議を月1回召集しその議長を務めることとされています。会議の日程及び議題は7日前に閣僚に通知され、会議の開催には少なくとも閣僚の3分の2の出席が必要とされています。

 閣僚は会議への出席が義務づけられています。必要に応じ、副大臣または関係者が会議に出席し討議への参加を認められることもありますが、閣僚会議議決事項に対する投票権までは認められていません。

 閣僚会議の決定は多数決によるものです。可否同数の場合は、議長である首相の決定が閣僚会議の決定となります。緊急・臨時会議は閣僚の3分の1以上の申し立てに基づいて、首相により召集されます。

 関係機関より閣僚会議へ提出される議題は以下のとおりです。
社会経済開発戦略計画
国家年次予算及び補正予算
法律案、大統領令案、首相令案
省や省と同格の組織、首相の直轄にある他の組織の新設、廃止、改編
州、特別市、特別区及び郡の新設、廃止、改編及び境界設定
政府の活動業務報告
国民議会又は大統領への報告事項
治安、外交に関する事項
市民権に関する事項
外国との間で交わされる条約や協定及びその交渉内容
必要に応じその他の事項
参考資料と引用:日本国外務省 (財)自治体国際化協会
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