国民議会
国民議会はラオス国民の代表で構成される立法機関です。国家の重要事項に関る決定を行うとともに、行政機関及び司法機関の業務を指導監督する権限を有しています。その前身は1975年に憲法制定議会として設置された最高人民評議会で、1991年の憲法制定によってその任務を完遂したのち、フランス植民地時代及びその後のラオス王国政府下で使用されていた名称を用い、立法機関本来の役割を担うべく「国民議会」として生まれ変わりました。
選挙権は18歳以上、被選挙権は21歳以上のラオス国民が有することとされています。議会は一院制で、その議員は国民の直接投票により選出されます。その任期は5年となっています。
国民議会は以下の任務及び権限を有しています。なお国民議会に対して法律案を提出する権限は、大統領、国民議会常務委員会、政府、最高人民裁判所、最高人民検察院、大衆組織本部が有しています。 |
憲法の制定、改正 |
法律の制定、改正、廃止 |
租税に関する規定の制定、改正、廃止 |
国家年次予算及び社会経済開発計画の審議と承認 |
国民議会常務委員会の提案に基づく大統領、副大統領の選任・解任 |
国民議会常務委員会の提案に基づく最高人民裁判所長官、最高人民検察院長官の選任・解任 |
大統領の提案に基づく首相以下政府閣僚の任命・解任の審議と承認 |
首相の提案に基づく省や省と同格の組織の新設・廃止の決定並びに州と市の新設・廃止及びその境界の決定 |
大赦の決定 |
国際法に基づき外国との間で交わされる条約の批准や廃棄の決定 |
戦争や和平に関する決定 |
憲法及び法律の遵守に関する監督 |
|
国民議会の常会は、国民議会常務委員会の召集により総議員数の2分の1以上の出席をもって年2回開かれることとされています。また必要と判断される場合には臨時会が召集されます。国民議会の議決は、大統領の選出及び憲法改正を除き、全て出席議員の多数決により可決されます。
国民議会の組織としては、議長と複数の副議長のほかに国民議会常務委員会と各種委員会、そして官房があり、各種委員会及び官房には内部部局が設置されています。現在の議長は、1998年2月の第4期国民議会で選出されたサマーン・ウィニャケート(党政治局員)で、その下にはカンボウ・スニサイ、ヴォンペット・サイクヤチョントゥア(党査問委員会議長)、オンチャン・タマヴォン(ラオス女性同盟議長)の3名の副議長が置かれています。
国民議会常務委員会は国民議会の常設委員会であり、国民議会の議長、副議長及び国民議会議員で構成され、現在7名の委員がいます。その任務及び権限は、議会の事務局として国民議会の開催準備と、すでに公表された国民議会業務計画の実施の確保・国民議会の召集・憲法及び法律の解釈・国民議会休会時における行政機関・司法機関の業務の監督となっています。
また、国民議会が独自に設置することができるとされている各種委員会は、法務・財務経済・社会文化・民族・国防治安・外務の計6委員会です。委員会は、法律案の審議及び大統領令案・大統領布告案の審議を行い、国民議会常務委員会及び大統領にこれを提出するほか、行政機関・司法機関の業務の監督を行う国民議会及び大統領を補佐する任務を負っています。委員会には国民議会議員だけでなく、各組織の長や専門知識に長けた党員もメンバーとして加わることが可能となっています。 |
第4期国民議会選挙・開票結果
国民議会議員選挙法(1991年8月14日)によれば、選挙区は州・特別市・特別区ごとに設置され、それぞれの定数については、国民50,000人に対し国民議会議員1人という原則に基づいて、国民議会常務委員会が決定する事になっています。立候補者の資格審査はラオス国家建設戦線が中心となって行い、選挙期日の14日前までに全リストが国家選挙委員会に提出されることとなっています。
1997年12月21日に実施された選挙結果は、160人の候補者から99人が選出されました。このうち98人が人民革命党員であり、非党員は15選挙区(チャンパサック州)から選出されたウドン・ケオドウアンディ議員1名だけでした。また、前期に引き続き再選されたのは、44人の候補者のうち33人でした。 |